雍州(Yongzhou)の貢物は三語で足りる。「厥貢惟球、琳,琅玕」——球と琳の玉、そして琅玕。揚州(Yangzhou)はもっと長い。「厥貢惟金三品,瑶、琨、篠簜,齿、革、羽、毛惟木」——三等級の金、美しい玉、大小の竹、象牙、皮革、鳥の羽、獣の毛、そして木材。品目は一つ一つ名を挙げられ、どれ一つとして数量がない。これが『禹貢』(Yugong、『尚書』の一篇)の書き方である。天下の産物を、声に出して読める一覧に組み替える。

まず州ごとに一本の境界線

章はこう始まる。「禹敷土,隨山刊木,奠高山大川」——禹が土を敷き、山に従って木を伐り、高山と大川を定めた。あとは州ごとに下っていく。どの州も書き出しは境界である。済水と黄河が兗州(Yanzhou)をなし、海と岱山が青州(Qingzhou)をなし、海と岱山と淮水が徐州(Xuzhou)をなし、淮水と海が揚州をなし、荊山と衡山の南が荊州(Jingzhou)をなし、荊山と黄河が豫州(Yuzhou)をなし、華山の南と黒水が梁州(Liangzhou)をなし、黒水と西河が雍州をなす。線は山河で引かれる。二本の川のあいだ、海と山のあいだ。九州(Jiuzhou)という数は、そうした一句ずつから出てくる。

境界のあとに四つが来る。土、田、賦、貢である。土は色と質(冀州(Jizhou)は「白い土」、兗州は「黒く肥えた土」)。田と賦はそれぞれ九等に分かれ、最上から最下まで、「錯」は等級が一つに収まらない州に付く。冀州は「田は中の中、賦は上の上、錯」——土地は中位なのに賦は最上位。雍州はその逆で「田は上の上、賦は中之下」。ここが最も面白い層である。同じ一つの天下で、田の等級と賦の等級は一致せず、その並べ方そのものが判断になっている。

貢物は州ごとに並ぶ。「貢」(みつぎもの)と「篚」(はこ)に分かれる。兗州は「漆と絹、篚には織物」、青州は「塩と細い麻布、海の産物はさまざま、岱山の谷から絹・麻・鉛・松・怪石」、徐州は「五色の土、羽山の谷の雉の羽、嶧山の南の孤桐、泗水の岸の浮いた磬石」、荊州は「菁茅を包んで匣に納めたもの」「九江から納める大亀」。州の末尾には水路が付く。「済水と漯水に浮かべて河に達する」「汶水に浮かべて済水に達する」——貢物と、それが都へ届く道が、同じ一句に書かれている。

例外が一つある。冀州には「厥貢」がない。王畿のある州で、記されるのは賦と「島夷の皮服」だけである。つまりこの貢物の一覧は九州に均等に配られているのではない。都のある州が納めるのは、土産ではなく賦なのだ。

もう一つの書の九州

『周礼』夏官の職方氏(zhifang、地図を司る官)は「天下の図を掌り、もって天下の地を掌る」。邦国・都鄙・四夷八蛮の「人民」と「財用、九穀、六畜の数要」を辨じ、そのうえで「乃ち九州の国を辨じ、同じく貫利せしむ」——九州の国々を区別して、同じ利益を共有させる。州名は方角で示される。東南を揚州、正南を荊州、河の南を豫州、正東を青州、河の東を兗州、正西を雍州、東北を幽州(Youzhou)、河の内を冀州、正北を并州(Bingzhou)という。

州ごとに記される項目は、また別の組である。山鎮、沢藪、川、浸、利、民、畜、穀。揚州は「その山鎮は会稽、その沢藪は具区、その川は三江、その浸は五湖、その利は金・錫・竹・箭、その民は二男五女、その畜は鳥獣に宜しく、その穀は稲に宜し」。并州は恒山、昭余祁、虖池と嘔夷、淶と易、利は布帛、民は二男三女。貢物の一覧はなく、田賦の等級もない。代わりに増えているのは男女の比と、何が育つかである。

二つの台帳は合わない

並べると、まず州名が衝突する。『禹貢』には徐州と梁州があり、職方氏にはない。職方氏には幽州と并州があり、『禹貢』にはない。次に区切り方が違う。『禹貢』は山河で線を引く(「済水と黄河が兗州をなす」)。職方氏は方角で名づける(「正東を青州という」)。そして項目が違う。『禹貢』は土・田賦・貢物・運路を与え、職方氏は山鎮・沢藪・川・浸・利・民数・穀宜を与える。

だから二つの台帳は一枚の地図にも、一つの貢物リストにもならない。同じ揚州が、『禹貢』では「金三品、瑶、琨、篠簜、歯、革、羽、毛」であり、職方氏では「利は金・錫・竹・箭」に「二男五女」に「穀は稲に宜し」である。誰かが書き写しを誤ったのではない。二種類の文書なのだ。一つは「土に任せて貢を定める」貢賦の総目録、もう一つは「天下の図を掌る」地理官の職掌である。

いつ頃のものか

『禹貢』は禹に仮託され、冒頭から禹が土を敷き山河を定める。成立年代は学界で論争があり、戦国説も漢代説もある。本稿はどちらとも決めない。職方氏は『周礼』のなかにあり、その作者と成立年代も同じように争われている。どちらの頁も、ある一年のある一国の実況として読むことはできない。

もう一歩進めると、九等の田賦、州ごとのいくつかの貢物、州ごとに一本の水路——この整い方そのものが一つの主張である。それは各地の帳簿を足し上げるのではなく、天下を一望できる秩序に組み替える。だから制度のように読めて、統計のようには読めない。実数はないのに、等級と次第はどこにでもある。

ここにないもの

数量はない。年号もない。実際に受け取った記録は一件もない。州境の実測もない。二つの頁は「九州」が行政単位なのか地理区分なのかも言わない。今日の面積に換算することもできないし、「最古の経済地理」といったことも書かない。書けるのは三つだけである。名を並べた貢物の一覧、九等の田賦、方角で州を分けた官の台帳——そして、二つの一覧が互いに合わない箇所である。

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参考資料・関連文献

  1. 《尚书·禹贡》(托名大禹,成书年代有争议,战国至汉说并有;维基文库本,未与点校本复核) — A survey of the world under Yu, opening 'Yu spread the soil, followed the mountains and cut the trees, and fixed the high mountains and great rivers' (禹敷土,隨山刊木,奠高山大川). It divides the land into nine provinces, each opened by a boundary line drawn from rivers and mountains — 'Ji and the Yellow River make Yanzhou', 'the sea and Mount Tai make Qingzhou', 'the Huai and the sea make Yangzhou', 'the Black Water and the Western River make Yongzhou'. Each province then gives its soil, its grade of field and of tax in a nine-step scale (冀州: 田中中,賦上上錯; 雍州: 田上上,賦中下), its tribute goods by name — lacquer and silk, salt and fine cloth, gold of three grades, jade, bamboo, ivory, hides, feathers, the great tortoise of the Nine Rivers, the well-reeds of Jing — sometimes what goes in the round basket (篚) or the wrapped bundle (包), and finally the water route by which the goods reach the capital: 'float on the Ji and the Ta, reach the River' (浮于濟、漯,達于河). No quantities are given anywhere. The province containing the capital, Jizhou, has no tribute list at all, only tax and the skins of the island barbarians.
  2. 《周礼·夏官司马》职方氏(作者与成书年代有争议;维基文库本,未与点校本复核) — The map officer 'holds the maps of the world and thereby the lands of the world', distinguishing the peoples of the feudal states, the royal domains and the surrounding nations 'with the numbers of their resources, nine grains and six domestic animals'. He then 'distinguishes the lands of the nine provinces so that they share the same benefits' (乃辨九州之國,使同貫利), naming them by direction: southeast Yangzhou, due south Jingzhou, south of the River Yuzhou, due east Qingzhou, east of the River Yanzhou, due west Yongzhou, northeast Youzhou, within the River bend Jizhou, due north Bingzhou (正北曰并州). For each he records the mountain sacrifice, marsh, river, tributary, the profit of the land, the male-to-female ratio of the people, which animals suit it and which grains suit it — e.g. Yangzhou: Mount Kuaiji, the Juqu marsh, the three rivers, the five lakes, profit in metal, tin, bamboo and arrows, 'two men to five women', birds and beasts, rice. It also says the king 'fixes their tribute according to what each has' (制其貢,各以其所有), and appends a nine-fold scheme of outer domains. It contains no tribute list by province and no field or tax grades.