一つの題の姿は短い。「今有田廣十五步,從十六步。問:為田幾何」——今、田の廣さ十五步、從十六步あり。問う、田と為すこと幾何ぞ、と。その下に三字。「荅曰:一畝」——答えて曰く、一畝、と。一句問い、一句答え、その後に術がある。漢代の算書の日常は、こうした一枚の田から始まる。
一道の田題:廣十五步、從十六步
最初の二題を原文のまま録す。「今有田廣十五步,從十六步。問:為田幾何?荅曰:一畝」「又有田廣十二步,從十四步。問:為田幾何?荅曰:一百六十八步」——今、田の廣さ十五步、從十六步あり。問う、田と為すこと幾何ぞ。答えて曰く、一畝。また田の廣さ十二步、從十四步あり。問う、田と為すこと幾何ぞ。答えて曰く、一百六十八步、と。第二題は一畝に滿たないので、答は「步」で數える。答は問いに隨って變わり、單位もそれに隨って變わる。この二題の術は題の下にはなく、章の冒頭に一括して與えられる。
章首の術を原文のまま録す。「方田術曰:廣從步數相乘得積步。以畝法二百四十步除之,即畝數。百畝為一頃」——方田術に曰く、廣と從の步數相乘して積步を得。畝法二百四十步を以てこれを除せば、即ち畝數。百畝を一頃と為す、と。三つの動作。相乘して積步を得、二百四十を以て除し、畝數を得。一百畝を一頃と為す。術文はこのように書かれている。本篇はこれを現代の公式に書き換えず、「相乘」を現代の記號に簡略化もしない。「一畝」という答えも驗算しない。書に書かれているのはこの答えであり、本稿はこの答えをそのまま録す。
同じ方田でも、單位が換われば術も一條換わる。第三題。「今有田廣一里,從一里。問:為田幾何?荅曰:三頃七十五畝」——今、田の廣さ一里、從一里あり。問う、田と為すこと幾何ぞ。答えて曰く、三頃七十五畝、と。第四題。「又有田廣二里,從三里。問:為田幾何?荅曰:二十二頃五十畝」——また田の廣さ二里、從三里あり。答えて曰く、二十二頃五十畝、と。術もそれに隨って換わる。「里田術曰:廣從里數相乘得積里。以三百七十五乘之,即畝數」——里田術に曰く、廣と從の里數相乘して積里を得。三百七十五を以てこれを乘ずれば、即ち畝數、と。やはり先に相乘し、次に畝に化す。ただ乘數が二百四十から三百七十五に換わっただけである。數字は原文のままに録し、一つも驗算しない。
もう一章:粟米の法
粟米章の冒頭は率の表である。「粟米之法:粟率五十,糲米三十;粺米二十七,鑿米二十四;御米二十一,小䵂十三半;大䵂五十四,糲飯七十五……」——粟米の法、粟率五十、糲米三十、粺米二十七、鑿米二十四、御米二十一、小䵂十三半、大䵂五十四、糲飯七十五……、と。「櫱一百七十五」に至るまで、中間に「稻六十,豉六十三」「飧九十,熟菽一百三半」もある。十數項、二項を一行にし、項によっては分數を帶びる(「小䵂十三半」「熟菽一百三半」)。すべて原樣のまま。表の下に總術がある。「今有術曰:以所有數乘所求率為實,以所有率為法,實如法而一」——今有術に曰く、所有の數を以て所求の率に乘じて實と為し、所有の率を以て法と為し、實は法の如くにして一と為す、と。乘、除、得數、の三點である。
題もその三步に隨って行く。第一題。「今有粟一斗,欲為糲米。問:得幾何?荅曰:為糲米六升。術曰:以粟求糲米,三之,五而一」——今、粟一斗あり、糲米と為さんと欲す。問う、得ること幾何ぞ。答えて曰く、糲米六升と為す。術に曰く、粟を以て糲米を求むるには、三之し、五にして一とす、と。第二題。「今有粟二斗一升,欲為粺米……荅曰:為粺米一斗一升、五十分升之十七。術曰:以粟求粺米,二十七之,五十而一」——答の分數(「五十分升之十七」)は原文のままに録し、小數に化さず、約分もしない。第三題。「今有粟四斗五升,欲為鑿米。問:得幾何?荅曰:為鑿米二斗一升、五分升之三。術曰:以粟求鑿米,十二之,二十五而一」。
題と術:二つの編排
二章の編排は同じでない。方田章は術を章の冒頭に置き、すべての題が一條の術を共用する。粟米章は題ごとに自分の術を持つ——「三之,五而一」「二十七之,五十而一」「十二之,二十五而一」、一句ずつ。これは編排の違いであって、二種の數學ではない。どちらも先に何を乘じ何を除すかを言い、それから結果を與える。里田術はまた第三の編排で、章の冒頭ではなく自分の題の後ろに挿し込まれる。本篇はこの動作の順序だけを書き、それらを現代の公式に歸納せず、これらの步驟が何かに「先行」したとも言わない。
書は誰のものか
『漢書·藝文志』の書目には、別の一群の算書の名がある。「日晷書三十四卷,許商算術二十六卷,杜忠算術十六卷」——日晷書三十四卷、許商算術二十六卷、杜忠算術十六卷、と。「曆譜」の類に列ねられ、この類は「十八家,六百六卷」、曆譜の小序はそれが「四時の位を序し、分至の節を正し、日月五星の辰を會し、以て寒暑殺生の實を考う」と言う。注意すべきは、この書目に「算術」の二字を持つ書が二部あり、しかも『九章算術』という書名がないことである。曆譜の前にはまた「天文二十一家,四百四十五卷」がある。算書は「曆譜」の類に歸され、「算術」という獨立の類を立てていない。書目の層と算書の層は、二つの層である。
ゆえに本篇は成書の層を明記する。『九章算術』は漢人が整理して成書した算書であり(一般にはそうされる)、「漢代の數學水準」の直接の證據ではない。書の中の題と術は長期に累積したものであり、どれが漢代に屬しどれがより早いか、兩頁は分けない。『漢書』の書目もそれに編年を與えない。書は九章に分かれ、章名は標目にあり——方田・粟米……——だが、兩頁とも編者も年代も與えない。本篇は題・答・術のままに録し、それらを以て一時代の水準を證明しない。
これらの題が教えないもの
兩頁とも與えないのは、誰がこれらの題を使っていたか、どう教えどう學んだか、算籌の實物とその並べ方、これらの術が實際の行政でどう用いられたか、題がどこから來たか。缺口はここに列ね、補わない。本篇も現代の驗算をせず、「古人は間違えた」とも指摘しない——書自身が異說を與えている場合を除いて。この頁にはそうした異說がないので、標すべきものもない。兩頁とも答えをどう照合したかも言わない。各題には一つの答だけがあり、驗算の過程はない。
冒頭の二題に戻る。一つは相乘して二百四十で除し、一つは三之して五而一。書は步驟を寫し取り、なぜかを説明しない。讀者にできるのは、步驟に從って一度やってみることだけである——一畝、六升、二つの數はそこにある。この一整套がどう積み上げられたかについては、兩頁とも題面で止まっている。
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参考資料・関連文献
- 《九章算术》(维基文库本,未与点校本复核) — The book itself. In the field chapter the first problem reads 'a field fifteen paces wide and sixteen paces long: what is the field? — Answer: one mu' (今有田廣十五步,從十六步。問:為田幾何?荅曰:一畝), and the second gives twelve by fourteen with the answer 'one hundred and sixty-eight paces' (一百六十八步). The chapter's procedure stands at its head: 'the square-field procedure: multiply the numbers of paces of width and length to obtain the pace-area; divide by the mu-divisor of two hundred and forty paces, and you have the number of mu; a hundred mu make a qing' (方田術曰:廣從步數相乘得積步。以畝法二百四十步除之,即畝數。百畝為一頃). The millet chapter begins with a table of rates — grain 50, husked 30, polished 27, bleached 24, imperial 21, small bran 13.5, and so on to malt 175 — then the general rule 'multiply the given number by the rate sought for the dividend, take the given rate as the divisor, and divide' (今有術曰:以所有數乘所求率為實,以所有率為法,實如法而一). Its first problem: a dou of grain turned into husked rice gives six sheng, by the procedure 'three it, divide by five' (三之,五而一); the second gives two dou one sheng turned into polished rice, answer one dou one sheng and seventeen fiftieths of a sheng, by 'twenty-seven it, divide by fifty'. The page carries Li Chunfeng's commentary in smaller type; only the main text is quoted here.
- 班固《汉书》卷三十〈艺文志〉(维基文库本,未与点校本复核) — The Han imperial catalogue's 'calendrical tables' section lists: 'a sundial book, thirty-four scrolls; Xu Shang's arithmetic, twenty-six scrolls; Du Zhong's arithmetic, sixteen scrolls' (日晷書三十四卷,許商算術二十六卷,杜忠算術十六卷), under the summary 'the above calendrical tables: eighteen schools, six hundred and six scrolls' (右曆譜十八家,六百六卷), with a preface explaining that calendrical tables 'order the places of the four seasons, rectify the nodes of equinox and solstice, and bring together the stations of sun, moon and five planets' (序四時之位,正分至之節,會日月五星之辰). The section lists two books of 'arithmetic' and does not name the Nine Chapters.




