斉の国君は酒を楽しんでいた。客人は陳から逃れてきた貴族で、ともに杯を重ねていた。日が暮れて、国君は松明をともして宴を続けよと命じた。客人は辞した。「私は昼を卜しましたが、夜は卜しておりません。とても従えません」と。
昼を卜した
『左伝』荘公二十二年(紀元前672年)が伝えるのは、このやりとりの全体である。申し出、辞退、理由。兆しも、卦も、韻語も引かれていない。残るのは、その日に昼のために行われた一度の卜と、問いの限界をその夜の限界とした客人の態度である。記す者はさらに君子の評を添える。それは兆しではなく作法についての評だ。酒は礼を成すためにあり、飲みすぎに進むのは正しくない。君主とともに礼を成し、過ちに引き込まれないのが仁である。
客人は陳の公子完。陳の公室の子で、その春、太子が殺されたあとに斉へ来た。桓公は彼を卿にしようとし、彼は断った。整った言葉で言う。旅の臣は赦されて仕えることを許されるだけで十分、高い席は誹りを招くだけだと。詩を引く。高い車、人を招く弓――行かないのか。友を恐れるのだ、と。国君は代わりに彼を工正にした。一年のうちに二度の辞退、官位と長い夜。説明がつくのは後の方だけである。
子どもと周の史官、そして書
それよりずっと前、同じ人物が別の種類の問いの対象になっている。『左伝』は彼の陳での幼い日まで遡る。周の王室から来た史官が『周易』(しゅうえき、周の易)を携えて陳侯のもとへ来た。陳侯は彼に筮(ぜい、書に基づく占い)を行わせ、結果は「遇《观》之《否》」と記された――観に遇い、否に之く。記録に残るのはこれだけだ。二つの卦の名と、一人の専門家の手を旅した一冊の書。
続く解釈は同定の連鎖であり、誰が言ったかは書かれていない。ある一句から始まる。「国の光を観る。王の賓となるに利し」。読みはそれを分ける。坤は土、巽は風、乾は天。「風、天と為り、土の上に在る、山なり」。山には材があり、天の光に照らされ、こうして土の上に立つ。庭に百の贈り物が並び、玉と絹が捧げられ、天地の美が備わる。だから「王の賓となるに利し」という。次に断語。陳に代わって国を持つ者が出る――ここではなく、他の国で。この人ではなく、その子孫で。もし他の国なら姜姓の家で。姜は大岳の後裔であり、山岳は天に配される。二つのものが同時に大きくなることはない。陳が衰えれば、この系統が栄える。
章はさらに、兆しにはできないことをする。結末を記すのだ。陳が最初に滅びたとき、陳桓子が斉で大きくなりはじめた。二度目に滅びたとき、成子が政を取った。年は書かれず、要りもしない。これは成就の側から語られた物語である。少年の卜が引かれるのは、何代も後に、陳から出た一族が斉の政を取ったからだ。この書の予言が生き延びるのはそういう次第で、事件の後に書かれるから、記録に残るものは決して外れない。だから誰も占い師に問わなかった、ということにはならない。残るのは当たった例だけ、ということだ。
婚姻のための韻語
もう一つ、もっと早い卜が同じ人物に属する。書は言う、「初め、懿氏、敬仲に妻せんと卜す」と。敬仲は陳完の字である。誰が行ったかは書かれず、誰が読んだかだけが書かれる――「其の妻これを占す」。答えは吉で、韻語として届いた。鳳皇飛び、鳴き声は鏘々。媯の後は姜のあいだで育つ。五世にして昌え、正卿と並ぶ。八世の後、これに京たるものなし。ここでの卜は「吉」の一字ではない。一家の数代を内に含む小さな詩であり、それを読むことは妻の手に握れる技である。
こうして一年の記録に、三つの問いと二つの方法が並ぶ。婚姻は卜(ぼく)。子の前途は筮。酒宴を夜まで続けてよいかは、また卜。最初は妻が答えを読み、二番目は周の史官が読み、三番目は客人自身が「私は昼を卜しました」と言う――一人称で、自分のために行い、書も専門家もその場にいない。二つの語は全篇で区別されたままだが、どちらをいつ使うか、その順序を『左伝』は一句も語らない。規則は別の書に属し、しかも国の大事に限られている。
史官が携えていた書
その史官の手にあったのは、どんな書だったのか。『周易』の残る頁がその形を見せる。最初の卦、乾を取る。四字で始まる。「大いに通る。貞を守るに利し」。次に六条。潜んだ龍は用いることなし。龍が田に現れる、大人を見るに利し。君子は終日乾々とし、夕べには惕然たり、危うくして咎なし。龍が淵に躍る、咎なし。龍が天に飛ぶ、大人を見るに利し。亢ぶる龍、悔いあり。七条目、「用九」が加わる。首なき群龍を見る、吉。書とはこうした単位の集まりだ。一句の断語、六条の文。占う者の仕事は、その一つに着地して、それが何を意味するかを言うことである。
頁は、この書が一つの声ではないことも示す。爻辞のあとに彖(たん、断語)と象(しょう、像)が来る。「天行は健、君子もって自ら強めて息まず」。さらに文言(ぶんげん)が来て、冒頭の四字を四つの徳として読む。しかも説明を「子曰く」の口に載せる。これらは爻を説明する文であり、爻辞のあとに置かれる。層は頁の上で見えるが、年代は見えない。読者に見えるのは、短い占いの芯と長い注釈である。頁が今の形を取ったころには、この書は問うだけでなく、学ぶ書になっていた。
この二頁が示さないもの
ここにある二つの頁は、どちらも一回の操作を記録していない。『左伝』が与えるのは韻語と三画の連なりと断語で、何を焼いたか、何を数えたか、誰がその答えを読んだか、どちらが先かは語らない。礼の書はそのすべてを補い、しかも『左伝』と矛盾しない――別の種類の書だからだ。『周礼』(しゅうらい、周の礼制を説く書)の春官では、卜筮は一つの役所になっている。大卜、卜師、亀人、燃え木を供し、息を吹いて火を移す官、占人、そして三種の『易』を掌る筮人がいる。亀は秋に取り、春に整える。順序も書いてある。「凡そ国の大事には、先ず筮し而る後に卜す」――国の大事はまず筮、次に卜。兆は身分に応じて読む――国君、大夫、史、卜人。礼の書は官制の設計であり、ある一日の記録ではない。史書は語りであり、規程を残さない。一方は言葉を、一方は制度を残し、どちらも結果は残さなかった。
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参考資料・関連文献
- 《春秋左氏传·庄公》(相传左丘明撰,春秋末至战国成书;维基文库本,未与点校本复核) — A year-by-year narrative of Lu from 722 to 481 BCE; the chapters for Duke Zhuang are compiled under each year. Under the twenty-second year it tells three divination stories about one man, Chen Wan (Jingzhong), a son of the ruling house of Chen who fled to Qi: the Yi family divined about marrying a daughter to him and 'his wife read it' (其妻占之), producing a rhymed verse about a phoenix, the descendants of Gui, 'five generations' and 'eight generations'; as a boy in Chen he was the subject of a 筮 performed by a historian of Zhou who had come to the Marquis of Chen with the Zhou Changes, giving 遇《观》之《否》 and an interpretation built from Kun (earth), Xun (wind) and Qian (heaven); and as Duke Huan of Qi's guest he refused to drink past dark because 'I divined for the day, but not for the night'. The year also records the killing of the Chen heir, Chen Wan's flight, his refusal of a chief ministership and his appointment as officer of works (工正). The chapter never describes how either divination was performed, gives no apparatus, no hexagram table and no rule for choosing between 卜 and 筮, and closes the hexagram story by reporting, generations later, that Chen Huanzi became great in Qi and Chengzi took its government.
- 《周易·乾》(卦爻辞战国至汉逐步定型,彖、象、文言为解释层;维基文库本,未与点校本复核) — The received text of the Changes, first hexagram: the judgment 元亨。利贞。, six line texts from 潜龙勿用 to 亢龙有悔, an extra 'use of nine' line, and then the commentarial layers 彖曰, 象曰 ('as heaven moves with strength, the noble man strengthens himself without rest') and 文言曰, which reads the opening four words as four virtues and speaks in the voice of the Master. The page shows the layers but gives no dates for them, and contains nothing about how a divination was carried out, no apparatus and no table of the other hexagrams.
- 《周礼·春官宗伯》(作者与成书年代有争议;维基文库本,未与点校本复核) — The ritual manual's divination bureau, and the order the chronicle never gives: the 筮人 'holds the three Changes' (Lianshan, Guizang, Zhouyi) and 'for the great affairs of the state, divines by stalks first and by shell afterwards' (凡国之大事,先筮而后卜); the 占人 divides the signs — 'the ruler reads the body, the great officers the colour, the scribe the ink, the diviner the cracks'; the 龟人 takes turtles in autumn and prepares them in spring; the 菙氏 supplies the burning material and, at a divination, 'takes bright fire to the 燋 and blows the 焌契 alight'. This is an ideal design for an office, not a record of any actual divination, and it is not the same genre as the Zuo zhuan's narrated cases.




