睡虎地秦簡のなかに、「封守」と題する目録がある。書き出しは「甲室、人:一宇二内、各々戸あり、内室は皆瓦蓋、木大いに具わり、門に桑十木」——家一棟に内室が二つ、それぞれに戸があり、内室は瓦葺きで、木材はひととおり揃い、門口に桑の木が十本。続いて人を記す。妻はすでに亡く、封守に加えない。未成年の子が一人、高さ六尺五寸。臣が一人、妾が一人、雄犬が一匹。家の目録ではあるが、これを書いたのは官府であり、家の主人ではない。

家屋の目録

この目録は『封診式』——司法文書の書式と模範を集めたもの——から出ている。当事者は「某里士五甲」のような代称で、実在の人名ではない。だからこれはある一件の実在の事件の調書ではなく、「こう書くものだ」という模範である。家をどう記し、その人をどう記し、奴婢と家畜をどう記すか、いちいち項目を立てる。ここで大事なのは「何を持っていたか」ではなく、いちいち登録するという手続そのものである。

まず境界を引く。これは「秦代の普通の人の家産」として読んではならない。この士五甲は臣も妾も持ち、犬も飼い、桑を十本も持っている。最貧の家ではない。目録は封守のときに登記した内容であって、必ずしもすべての家財とは限らない。寸法(六尺五寸、七尺)は秦の単位のまま残し、メートルに換算しない。

部屋の寸法

盗みの書式はさらに細かく量る。被害者の家の「垣は高さ七尺」、内室の中央に新しく穴を掘られ、「穴の底は小堂に揃い、上は高二尺三寸、下は広さ二尺五寸、上の形は豚の窪みのごとし」。塀の外の土に「秦の綦履の跡が四か所、長さ一尺二寸」——四つの足跡、一つ一尺二寸。盗まれた衣裳も記される。「布五十尺、帛裏、絲絮五斤を以て装とし、繆繒五尺を以て縁とし及純とす」。

壁の高さ、穴の大きさ、足跡の長さ、衣に用いた材料——どれも量られている。これが秦代の司法文書の読み方である。現場を一つの勘定として記す。本稿は衣食住に関わる数だけを取り、事件の細部と死状は書かない。

一身の衣裳

死体の書式は一人の男を記す。「布の襌裙と襦、各々一」——二枚。足もとに「秦の綦履が一両」。男は壮年で、色白、長さ七尺一寸、髪は長さ二尺、腹に古い傷跡が二か所。死体は「某亭まで百歩、某里の士五丙の田舎まで二百歩」のところにあった。衣裳、身長、髪、古い傷、距離——すべて記録にある。

官府が衣を支給するのには、別に値段があった。『金布律』に、褐(あらい麻の衣)を造って衣として賜うに、「大褐一は枲(あさ)十八斤を用い、直六十銭。中褐一は枲十四斤を用い、直四十六銭。小褐一は枲十一斤を用い、直三十六銭」とある。支給には時期がある。「受衣の者、夏衣は四月尽き六月に稟(う)け、冬衣は九月尽き十一月に稟く。時を過ぐる者は稟くこと勿れ」。衣の銭は人によって等級がある。「隷臣、府隷の妻なき者及び城旦は、冬は人ごとに百十銭、夏は五十五銭。その小なる者は冬七十七銭、夏四十四銭。舂は冬は人ごとに五十五銭、夏四十四銭。その小なる者は冬四十四銭、夏三十三銭」——褐には褐の値段があり、衣銭には衣銭の基準があり、いずれも官府がつけた値である。(同じ律に「布、袤八尺、幅広二尺五寸」と「銭十一を以て布一に当つ」という定めもあるが、それは市場と換算の話で、本稿では展開しない。)

一か月に食う量

口糧は一覧表になっている。『倉律』に「隷臣は月に禾二石、隷妾は一石半。事に従わざる者は稟くなかれ。小城旦・隷臣の作(はたら)く者は、月に禾一石半。未だ作すこと能わざる者は、月に禾一石。小妾・舂の作く者は、月に禾一石二斗半。未だ作すこと能わざる者は、月に禾一石。母なき嬰児は各々半石」とある。農繁期には増しがある。「隷臣の田を作る者は、二月より月に二石半を稟け、九月尽きてその半石を止む」。城旦の築牆は「朝は半、夕は三分の一」、囚は「日に三分の一斗」。

この表の対象ははっきり書かねばならない。糧を受けるのは隷臣妾・城旦舂といった官府の廩食を受ける者であって、全国の農民ではない。だから「秦代の農民は月に二石食った」と推すことはできない。それこそ材料が越えることを許さない一歩である。

これらの帳簿が示せること

境界を並べる。「秦人の一日」や「秦代の日常生活」は書かない——律条と司法文書には、起居の時刻も、食べ物の種類も、娯楽もない。『日書』は引かない(維基文庫の『日書』の頁は空で、読める本文がない)。『封診式』は模範であって案巻ではない。倉律の対象は官府の廩食を受ける者である。金布律の衣銭は官府が衣を支給する基準であって、市場の衣価ではない。寸法は秦の単位のまま残し、米に換算しない。簡号は作らない(維基文庫の録文に番号がない)。銭は秦の銭であり、律文は「半両」とは書いていない。現代の購買力に換算しない。「秦代の法律は厳しかった」といった評価は書かない。漢代の材料で秦の空白を埋めない。

四つのものを並べる。家産の目録(一宇二内、門に桑十木、子の高さ六尺五寸)、部屋の寸法(垣の高さ七尺、盗穴の高さ二尺三寸)、一身の衣裳(布の襌裙と襦、秦の綦履、褐の値六十・四十六・三十六銭、冬は百十・夏は五十五の衣銭)、そして口糧の表(隷臣二石、隷妾一石半、嬰児半石)。どの数も官府が書き記したもので、本人が語ったものは一つもない。書けるのは「官府が一人をどう勘定したか」であって、「秦の人がどう暮らしたか」ではない。それがこの三つの文書の境界であり、最も正直なところである。

参考資料・関連文献

  1. 《睡虎地秦简·封诊式》(维基文库录文) — Model forms for judicial documents, not case files: the parties are placeholders such as 'Shiwu Jia of such-and-such a hamlet'. The sealing inventory lists 'one house with two inner rooms, each with a door, roofed with tile, the timber complete, ten mulberry trees at the gate', a son six chi five cun tall, a male and a female slave and one male dog. The burglary form gives a wall seven chi high, a hole two chi three cun high and two chi five cun wide, four shoe prints a foot two cun long, and a stolen robe fifty chi of cloth with silk lining, five catties of silk floss and a five-chi patterned border. The corpse form gives a plain cloth skirt and jacket, a pair of Qin sandals, a body seven chi one cun tall, hair two chi long, a hundred paces from the post station and two hundred from a field hut.
  2. 《睡虎地秦简·仓律》(维基文库录文) — Statute on granaries and issue rations; the recipients are the state-fed — bond servants and convict labourers, not the population at large. Bondman two shi of grain a month, bondwoman one and a half; small convicts able to work one and a half, unable one; small bondwomen and grain-pounders able one and a quarter, unable one; motherless infants half a shi. A bondman in the fields gets two and a half from the second month to the ninth. Wall-building convicts get half in the morning and a third in the evening; prisoners a third of a dou a day. Also seed rates and the rate for husking millet.
  3. 《睡虎地秦简·金布律》(维基文库录文) — Statute on money, cloth and the issue of clothing. Only the clothing-issue clauses are used here: summer clothing issued from the fourth to the sixth month, winter from the ninth to the eleventh, nothing after the time. Coarse hemp garments: large, eighteen catties of hemp fibre, sixty cash; medium, fourteen catties, forty-six; small, eleven catties, thirty-six. Issue allowances: bondmen, unattached servants and convicts without wives, 110 cash in winter and 55 in summer; the small ones 77 and 44; grain-pounders 55 and 44, the small ones 44 and 33. The cloth dimensions and the rate of eleven cash to a bolt are noted only in passing, as that belongs to the market article.